大会長挨拶
2021年11月25日から27日に、千葉県浦安市 ヒルトン東京ベイに於いて第59回日本人工臓器学会大会を開催させていただきます。歴史と伝統ある本会を主催させていただくことは大変名誉なことであり、教室員一同、力を合わせて実り多き会にできますよう努めさせていただきたいと存じます。
新型コロナウィルス感染症の第二波が収束する気配を見せず、落ち着かずまた心配な日々をお過ごしのことと思います(2020年12月上旬現在)。地域により状況は様々とは思いますが、全国各地で、対応にご尽力されているすべての医療関係者の皆様に心より敬意を表します。会員の皆様におかれましては、自らとご家族の健康に十分留意し、この危機において各々の役割を無事に果たされることを祈念してやみません。
図らずしも今回の新型コロナウィルス感染流行下においてECMOが大きな注目をあびたように、人工臓器はわが国の医療において必要不可欠なものとなっています。今後の機器開発、管理を行う人材の育成など、当学会の果たすべき使命はますます大きくなっていくと考えられます。本学会は各種人工臓器のより幅広い適応に関する議論や種々の新しいデバイスの導入などにおいてリーダーシップをとり、各方面への働きかけを続けていくことが最も大きな使命と考えられます。それに加えて、組織工学、ナノバイオテクノロジー、ロボットなどの新しい領域への展開も必要であり、これまでの医学と工学の協調に加えて、これら新分野との融合発展も重要な課題であると考えます。臨床従事者と機器開発やレギュラトリーサイエンスなど幅広い分野の専門家の両者が集まる本学会でこそ、議論を通じて患者の役に立つ新しい人工臓器の臨床応用を実現していくことが可能であると信じています。皆で力を合わせて、そういった将来の新しい人工臓器の実現への流れを加速していきたいという願いをこめて、本会のテーマは”Moving Forward”とさせていただきました。
最近多く開催されているwebを用いた開催形式では、双方向性でのDiscussionはかならずしも盛り上がっているとはいえず、多くの方々が不完全燃焼の感を抱いておられるのではと感じております。会場で多くの参加者の皆様の熱気を感じ、意見交換や議論に耳を傾けることが学会の大きな意義であることが再認識されたように思っております。従いまして、COVID-19により不透明な状況ではありますが、通常開催を目指し準備を進めております。このような事態が収束し、皆様と千葉の地で一堂に会し、熱い議論を闘わせることが可能となることを切望し、多数のご参加をお待ちしております。
第59回日本人工臓器学会大会
大会長 松宮 護郎(千葉大学医学部心臓血管外科 教授)